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戦前ブルース音源研究所

Pre War Blues Laboratories

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     【Montgomery Wards 】


 アメリカの通販会社 モンゴメリー・ワード(Montgomery Wards) この会社の通販カタログには生活に関わる全てと表現されるほどの商品が掲載されています。

それこそ 衣類、靴、装飾品、台所用品、カメラや銃、それから建築用材や道具、レコードや蓄音器・・・もちろん楽器まで何でも売っています。

この会社のカタログに掲載されている楽器こそが、今回のロバート・ジョンソンが持っているギターのカギを握っているかも知れません。

ライバル会社のシアーズ&ローバック(Sears & Roebuck)が 1914年頃に【Supertone】ブランドでギターを販売し始めますが、同時期にはモンゴメリーも【Concertone】というブランド名でギターを販売し始めます。

これまでは、シアーズのギターには 「Sears & Roebuck」シール、それ以前は焼印がギターの内部にありました。

1920年代、1930年代と過ぎて行くとモンゴメリーは当時の人気歌手などのモデルを販売する手に出ます。(現代でもよく使われている販促手段です。)

そんな中で モンゴメリーはギブソンのセカンドブランド(廉価モデル)の販売を仕掛けます。 その一つがカーソン・ロビソンモデルです。

こちらのサイトに、KG-14の別ブランド、通販会社モンゴメリー・ワード社の「レコーディング・キング・カーソン・ロビソン・モデル」について、非常に分かりやすく、

そして詳しい説明がありますので参考にして下さい。   こちら → Vintag Guitar world

 

よく言われる Recording King モデルと言うのはこのモンゴメリー・ワード社のオリジナルモデルとして数社に依頼し販売されておりました。

Stromberg Voisinet の Kay Kraft モデルにも、ヘッドに 「Kay Kraft」ではなく 「Recording King」と書いてあるギターを確認されている人も多いでしょう。

 fig-3   fig-4

1934年のモンゴメリー・ワードに掲載されている Kay Kraft をご紹介します。  Ward's Recording King Guitar として紹介販売されてます。

 fig-5

Kayは、1920年後期に発表したfig-5のKay Kraftでは、すでに合板のアーチトップの技術でギターを作っておりました。
一流メーカーというと Martin、Gibsonと連想するでしょうが、モンゴメリー・カタログ(1934)の中ではギブソンが作るギタ-(fig-6)に比べ
1.5倍の価格のギター「Recording King」を担当しております。

1920年後期にKayがリリースした14フレットジョイントのギターは、ジワジワと流行に乗り、1930年代に入り他社でも14フレットジョイントのギターを
製造する様になりました。1930年代初中期以降に多く発売される様になっております。


1934年のモンゴメリーのカタログには、ギブソン社 Kalamazoo KG-14 と同じ作りのカーソン・ロビソン モデルは ありませんでした。

こちらが 同年1934年 Montgomery Wards の119、120号に掲載されているモデルです。

 fig-6                     fig-6_2
  (サウンドホールとフィンガーボードが接している)                   Kalamazoo KG-11 が先にリリースされていた事が判ります。 

1934年、モンゴメリー・ワードでは Carson Robisonモデルとして、Kalamazoo KG-11と同じ仕上げのギター(fig-6)の販売を始めたていた事が判ります。
さらにその数年後に、いよいよ Kalamazoo KG-14に「Carson Robison」と名前を入れたギターを販売するのです。


1937年のモンゴメリー・ワードのカタログにはこの様に KG-14 と同じ仕上げのギターが 「New Carson Robison Guitar」として紹介されております。

 fig-7(サウンドホールとフィンガーボードが離れている)

この事からも、KG-14が1930年代の後期に商品化された事が判ります。ちなみに今 私の手元にあるKG14 は1937~8年の生産の様です。

シリアルに A.B.C と一年毎に変わっていたというのは間違いで、生産量か仕上げで変えていた様にも思います・・・ が、ここは守備範囲でなくて

カラマズーモデルのシリアル記号と製造年月日の関係については正確なところはわかりません。

 

確かに1920年後半までは、チープなギターがバカ売れでしたしギブソンもセカンドブランドを立ち上げたくなる気持ちもわかります。

 シアーズ、モンゴメリーなどの大口市場はオスカー、ハーモニー、リーガル、ケイ、などが乱売中でしたから地方の大口ショップのOEMの一つも取りたいところです。

ギブソンは1936年にリリースしたKG-14 をNewモデルとしてモンゴメリーに売り込み、1937年にはご覧の通りNew Carson Robisonモデルとしてカタログに掲載されたのでしょう。
もしもギブソンがKalamazoo KG-14を1931年に販売していたのであれば、1937年に採用したCarson Robisonモデルは全然newモデルではありません(笑)


*ギブソンのカラマズーブランドは、モンゴメリ-の様な量販向けに立ち上げた安物ラインです。
モンゴメリーへは Carson Robisonとして、またその他の大手楽器店などへはKalamazooブランドとして販売されたと思われます。

モンゴメリー社との商談の末に安物ラインを製造しなくてはならなくなり、Gibsonブランドとは異なる安物仕上げのKalamazooブランドが誕生したのだと思います。
1933年には、楽器ではなくおもちゃを納品していた様です(口座開設にあたりまずはおもちゃを売り込みに行ったのでしょうか)

 それにしても KG-14 は、やはり1935年以降ではないでしょうかね。。。1936年あたりです。。。

もしかしたらKG-14の前に、無名ブランドのOEMを別に作って市場に出していた可能性もありますよね、売れるかどうかわからないし。 


ここまでは、Gibson-Kalamazooの発売時期に関する Montgomery Ward's との、参考資料です。



ロバート・ジョンソンの写真で気になるのはサウンドホールのロゼッタ?(パーフリング)です、Model-681の様にギブソンの仕様に近い部位が残っているモデルがあります。

KG-14 は余計な装飾を一切そぎ落とし、内部もラダーブレーシングになってます。

もしも、KG-14 の前にギブソンの安物、面影を残したモデルがあったとすれば「くわえタバコ写真」の時期は1936年以前である可能性もあり、

トム・グレイヴズ氏のいう1933年、日暮氏のいう1931年という証言?が本当であるのであればKG-14という私自身が主張していた見解を

訂正し、今や定説になっているKG-14 説が崩れます!      

しかし、ギブソンブランドでは写真の様なチープな仕上げは確認出来ておりません。 KGもしくは他社のギターかを検証する必要があります。 


他社のギターで 写真の特徴の全てを満たすギターが存在するのか?という検証も必要です。

そして、写真がKG-14である事の証明も別の角度からの検証を試みる必要があります。   【菊地】

 

 


  【もう一度写真の確認】   気を付けなくてはならないのは、シャッターを押した時の状況判断です。 


 ボブはシャッターの瞬間にギターのボディを少し動かしてしまっているためにサウンドホールのパーフリング(白い輪)がブレて

しまっていることが判ります。  その証拠に12フレットからサウンドホールまでのフレットもぶれて霞んでいます(太くなってます)

これは Blind Blakeの写真と同様ギター弾きの性と言うもので、シャッターの瞬間にギターを弾いてしまっている為でしょう。(写真に音はいらないぞい)

サウンドホールの太目に見える白い輪 は、実際には写っている太さよりは細いと判断出来ます。

  fig-8

 ボディの色は見える範囲では同色で黒っぽい。 

ポジションドットマークはGibsonと異なり、15フレットにはついていません。 

Gibsonの安物ブランドであるKalamazooは、3と15のドットを減らした仕上げが特徴です。(たまに3フレットにマークを付けているギターもあります)

ボディの形(肩のアールやネックのヒール)は1930s前半頃のGlibsonのL-0、L-00、L-1と同じような形。

  fig-9

さらに、かすかに見える黒いナット!Kalamazooの多くは黒檀を使用していました。(牛骨は白色) 

サウンドホールのパーフリングは一見太く思えますが、先に指摘したようにぶれて太くなっています。

Gibsonの多くは、木のパーフリング・リングの内側にさらにセルロイドのバインディングがあったりするので、リングが2重の輪になっていたりします。 

KG-14はセルロイドの白い輪の内側に黒い輪、そして白い輪、という様にセルロイドをサンドイッチにした輪をサウンドホールの内側から張りつけて

いるモノもあります(fig-10)

  fig-10

ボディのバインディングもトップサイドのみであり、カラマズーの特徴に合致します。

そして、最大のポイントは 14フレットジョイントのギターである事です。 14フレットジョイントのギターは1920年代後期になり発表された

Kay Kraft にありました。 (Kay Kraftの12フレットジョイントのギターはこれまでに たった1本しか確認した事がありません)

14フレットジョイントのギターが 各社で多く採用されてゆくのは1930年代の初中期以降だと認識しております。  

【他社の14フレットジョイントギター】

 fig-11

 このギター(fig-11)は、14フレットジョイント1930年代の「Oscar schmidt- Stella」です。

サウンドホールのパーフリングの太さなど ボブのギターの印象にも似ています。 しかし、フレットボードからサウンドホールまでの

距離が近過ぎます。1930年中期までのギターの多くはこの様にサウンドホールにフレットボードが接近しているのです。

 fig-12

fig-12は1930年中期頃の 14フレット ジョイント 「kay made - Fischer」です。 アジャスタブル・ネックという画期的なネックジョイント法を

採用したKay Kraftですが、弾き難い独特な形状からノーマル形状モデルの必要性に迫られた後期モデルというとこでしょうか?

ネックとサウンドホールまでの距離は、幾分離れておりますが実はネックはボディトップ板から浮いております。横から見るとジョイント

部分やヒールが全く個性的なデザインですから ボブのギターとは異なります。  このギターは アーチトップでバックサイドにも

バインディング装飾があります。

この様に1930年代の他社製のギターを探してみても、ボブの写真のギター(Gibson-Kalamazoo ?)に合致するようなギターは

なかなか見つかりません。

 


 【フレットピッチ理論からの考察】


 

1930年中期(1933~)頃より、増えて行く14フレットジョイントのギターですが上記の2タイプのフレットピッチを計測しました。

Stella Grand Concert 14フレットジョイント - Fret Pitch = 12 3/4inch = 約324mm

Kay Fischer アーチトップ 14フレットジョイント Fret Pitch = 12 3/4inc = 約324mm

*Fret Pitch とは、ナットから12フレットまでの距離の事です。

 上記の2社は、パーラーサイズ(Concert size)の場合には、異なるスケール フレットピッチを採用しておりますがグランドコンサートの

場合には同じインチの分数を採用している事が判ります(全てではありませんが多くは scale = 25 1/2 =648mm)

【KG-14 Fret Pitch】

      fig-13

 Gibson- Kalamazoo KG-14    Fret Pitch = 12 3/8 = 約314mm  (scale = 24 7/8 = 632mm)

この数値は 当方所有ギターの実測数値ですが多数のギターの中には誤差のあるモデルも存在する可能性はあります。

しかし、このフレットのピッチはギターが楽器となる条件でもっとも大切な部位でありますし、各メーカーの特徴にもなります。

ボブの写真が1931年から1933年の間に撮影されたのであれば、そのギターはおそらくFret Pitchまで含めた特徴に合致する事が望まれます。

 

【Carson Robison の検証】

 fig-14

私はサウンドホール(パーフリング)が、KG-14 現物よりも若干太いと信じたいところですが、実際にモンゴメリー・ワードで販売されていたCarson Robisonの
所有者であり研究所にご参加頂いている 左海(さかい)様より、写真と実物のギターが同じ形状であるかを検証された資料を頂きました。

こちらが左海様 所有のCarson Robison です。 

  fig-14-2

 モンゴメリーで販売しているギターの多く には この様にサウンドホールから、バック板にラベルが確認出来ます。 

 fig-15

 この特徴のギターにモンゴメリー・ワードのラベルは1937年以降の販売である事が証明されます。(Kalamazooブランドにはワードのラベルは当然ありません)

この KG-14(fig-14-2)と同じスペックのギターが、ボブが写真で持っているギターと同じなのでしょうか?

上記Kay Kraftの14 フレットOEMモデル(fig-12)やStellaの14フレットモデル(fig-11希少です)であれば、フレットピッチはKG-14(Carson Robison)よりも長い。

ボブの写真にレイヤーを重ねたらフレットピッチやボディ等の各部位に大きさのずれが起こるはずです。

 

次回は いよいよ上記の検証を踏まえた上で写真のギターと現物のKG-14が同じフレットピッチやボディの大きさに合致するのか?

 左海様の検証内容の公開となります。

次回の写真の謎-4 ロバート・ジョンソンのギターがギブソン社 Kalamazoo-KG14であるのか、そうではないのか、が決定的な判断となるでしょう。。。


 
                         ロバート・ジョンソンの写真の謎-4  To be continued



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