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Pan Records

戦前ブルース音源研究所

Pre War Blues Laboratories

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【メタル・マザー 金属母】

2011年8月、ブレイクルームに1937年と1938年のデッカに録音された、ロニー・ジョンソンの音源が入庫しました。
今回の音源は、SP盤ではなく、なんと、メタルマザーです。

しかも15枚。

このメタルマザーは、本当に色々なことを我々に教えてくれました。
少なくとも1930年代において、レコーディング・スタジオで何が行われていたかのほとんど
全ての情報を我々は知ることになりました。

さて、メタルマザーって何?  メタルマスターとは違うの?

と思われている方もおられれば、そんなことはとっくの昔から知ってるよ、
と言われる方もおられるでしょうが、簡単に説明いたします。

SPレコード製作はまず、金属板の上にアセテートと呼ばれる、
まあワックスとかラッカーみたいなものが塗られたものから始まります。

このアセテート盤に マイクで拾い、アンプで増幅して振動させたカッター針でカットして行きます。
この時、盤面はレコードと同じ、「凹」の溝が刻まれます。



このアセテート盤にメッキを施し、盤面の溝をコピーします。

アセテート盤からはがしたメッキ部分が、「メタルマスター」といわれるもので、
1枚のアセテート盤から1枚しか作れません。

盤面の溝は「凸」になります。

このメタルマスターにまたメッキを施し、はがしたものが、
「メタルマザー」で、1枚のメタルマスターから数枚は作ることができました。
盤面の溝は「凹」で、レコードと同様に再生可能です。


このメタルマザーにまたメッキを施したものが、「スタンパー」と呼ばれるもので、盤面の溝は「凸」です。

このスタンパーをそれぞれA面、B面となるように圧縮機に装着して、
シェラックやビニールをプレスして、レコードの出来あがりとなります。

以上のように、再生可能なのは、盤面が凹のアセテート盤、メタルマザー、レコードになりますが、
アセテート盤はメタルマスターを作る段階で破壊されてしまいますので除外されます。


 fig-1

メタルマザーは、マスターテープの様な存在なのです。

これは、通常めったにお目にかかれるものでは無いということはおわかりでしょう。
実際はレコード会社の管理下にあるはずのものです。

再生音は、恐ろしいぐらいに良いです。たとえミント・コンディションのSPと比較しても勝負になりません。
よく、SP愛好家の方々が、SPをかけると、歌手や演奏者が部屋の中にいるようだ、とおっしゃられます。


このメタルマザーは目の前30センチのギターの弦の震えが「見え」ます。
そのあまりの生々しい再生音に戦慄すら覚えます。

ちなみに、この再生音は、同じノイズレスでも、ノイズリダクションされたCDの再生音とは「全く別物」です。

ノイズリダクションされたCDはノイズは無くなってますが、
歌声や楽器の音色や微妙なニュアンスをぶち壊していることが物凄くよく分かります。

このメタルマザーの直接のコピーであるSPが、何もせずとも次に音が良いことが分かります。

もうSP集めはやめて、メタルマザー集めを始めようか、と主任と話しています(笑)。  【所長山本】



【金属母との格闘】


戦前ブルース音源研究所はDecca 1937-38年 Lonnie Johnsonのメタルマザーを所有する事になりました。
メタルマザー 金属盤をご覧になられた方は、研究所員の中には少ないと思いますのでご紹介致します。

金属盤は もちろん金属で出来ております。


盤は平らではなくて、外周と中心の高低差が10㍉から20㍉程度もある盤もありました。

盤の中心の穴は 表面からプレスで空けたように裏面に押し出されております。

この押し出しの部分も3ミリ以上ある盤もあります。
ターンテーブルで回転をさせれば、大きく上下に歪んで回り針は暴れて こりゃ大騒ぎでしょう。

表面は、fig-2の様に10インチに対し12インチの外周に試しの溝 無音部分があり、マトリックス番号が
凹の形に刻まれてます。


 fig-2

中心部分に近い マトリックス番号は 逆に裏から打刻したように 凸の形です。
興味深い 発見は裏面です。 

メタルマザーの裏面は同じ様な模様になっておりました。
fig-3の様になってます。


 fig-3

なんと溝が膨らんでいるのです。


金属メッキを どんどん塗り重ねた様な工程が想像出来ます。

まずは 音が出るのか試してみようとターンテーブルにセットし針を下ろした瞬間! 恐ろしい事態が発生。

キュルキュル ギー!! なんてこった!! 一体何が起こったんだろう??


カートリッジが盤にピター!とくっ付いてしまったのです。 



これは MCカートリッジの磁石が金属板に引き寄せられたのです、しかも想像を遥かに超えた磁力でした。

磁性体の金属です すでに70年が経過しても腐食(酸化)していないので、ニッケルでしょうか?

表面がニッケルメッキであると思いますが、裏面の輝きの無さはどうでしょう?
まぁ この金属元素 もしくは合金の正体は置いておきましょう。

それよりも、カートリッジが盤にくっ付いてしまっては 再生出来ません!!!
そこで、MMカートリッジを引っ張り出す事にしました。 



 fig-4

まずは ターンテーブルを回転させず慎重に針を近付けてみます。   どうだろう??

今度はくっ付きません! カートリッジは通常のクリアランスを確保しているようです。


試しに手でテーブルを回転させてみます。

 出ました!  音が出ました! 


もう少し早く回してみようw あ!ロニーの曲だ(当たり前ですが)
早速通常78rpmで回転させて再生してみます。


しかし、盤表面が平らで無い為に 上下に偏芯したレコード面は針圧の低いMMカートリッジを簡単に飛び跳ねさせます。

逆に針圧を上げてしまうと、カートリッジが盤面に擦れてしまいます。

 しかし 音質はとてもクリアーです。
これは 何としても音を取り出したい




試しに揃えてあった 針の太さを変えてみようと 
3.0ミル  3.5ミル  4.0ミルと交換し試します。


普通のSP盤の再生では気付かなかったのですが、3.0ミルだと針先が弱いのか
カートリッジ本体が盤に接触してしまいます。



同じ針圧でも 4.0ミルはある程度 盤とのクリアランスを確保出来再生可能です。
針圧というよりも 磁力でしょうか?

そこで 盤面を極力平らにするためにターンテーブルのゴムマットに両面テープで固定する手段を試みました。


 fig-5   fig-6


この固定方法により、ある程度の盤は大きな変形が改善され再生が可能となりました。
一枚一枚 簡単なクリーニングをしますが、針掃除用のハケで盤を回転させながらチリを取る方法です。



 fig-7

もっと他に 良いクリーニング方法もあると思います。


しっかり埃を掻き出すことが出来ればノイズはさらに無くなるかも知れません。
何度かクリーニングを重ねて、集音する事にしました。


シェラック盤SPと比べて、鮮明さが異なりました、このメタルマザーを78rpmで再生をして音程を聴き取りました。
ダメ元で レーザーターンテーブル ELP でも集音に挑戦しましたが、一瞬でアウトでした(当たり前です)




 fig-8


*研究所員の所有するELPで、SPの集音テストも行いました。 




【収穫】




今回の収穫はとても大きいです。
まず、取り出した 音 を聴いて驚きました。

 この透明感は本当に驚くしかありません。




録音回転速度は78rpmではありません、判断はとても簡単です。
 ピアノの音がキーから大きく ハズレています。



修正聴き取りは、ピアノの一つの鍵盤の音程を聴き取り 測定することから始めました。
低音キーと高音キー(鍵盤)では、若干チューニングが違う様に感じました。



一曲 一曲の音程誤差を数値化しますが、全てを通し平均値を算出することで全貌が明らかになりました。

CDの音源などは、正しく78rpm再生された音である保証も記述もありません。

そのためSP盤を収集しております。



このメタルマザーは、15枚を通して確実な数値が現れました。 完全です。

ロニー・ジョンソン 1937-38 シカゴ、ニューヨーク Decca録音です。

1937_11_8 Chicago.
91339-A Man Killing Broad
91340-A Hard Times Ain't Gone No Where
91341-A Flood Water Blues
91342-A It Ain't What You Usta Be
91343-A Swing Out Rhythm
91344-A Got the Blues For The West Side
91345-A Something Fishy
91346-A I'm Nuts Over You
1938_3_31 New York City.

‎63517-A Friendless & Blue
63518-A Devil's Got the Blues
63519-A I Ain't Gonna Be Your Fool
63520-A Mr. Johnson Swing
63521-A New Falling Rain Blues
63522-A Laplegged Drunk Again
63523-A Blue Ghost Blues

メタルマザーは15枚  63524_A South Bound Backwater は ありません。
 
資料を見ますと この曲だけ A.Bが存在していると記載されてますが
 私達が聴いている同曲はBです。


何らかの理由で SP盤として流通している 63524_B を採用したのでしょうか?
メタルマザーにこの一枚が欠けている事が 関係している様にも思います。


研究所所有のSP盤より 63524_B South Bound Backwater を加え、Decca録音のコンプリートとなります。 


【ご連絡】

このメタルマザー音源を使用した録音回転数に修正をした世界初の音源を リリース致します。
すでに ボーナストラックの選択修正に入るところですが、これが時間がかかったりして・・・
Blind BlakeのSP音源からの 蘇るTrue Revolution - CD 完成前に、

こちらが先に完成すると思います。

 (仮ジャケットデザイン)
ロニー・ジョンソンの本当の素晴らしさ、唄の表現力、最後のギターの名演が聴けます。  【aki】



こちらは 既に完成しております。
修正に関した詳細はCD内のライナーノーツに記載してあります。

Lonnie Johnson True Revolution
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