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Pan Records

戦前ブルース音源研究所

Pre War Blues Laboratories

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Trace Pitch Dateの一例をご紹介いたします。

トレースピッチとは、レコードの溝と溝の間隔の事です、Groove Pitchとも言っても良いのでしょうけども
敢えて 痕跡を辿るという意味も含めて Trace Pitch=TPとしました。

 10インチのレコード盤(SP盤とも78rpm盤ともいう)には、限られた面積にしか音を刻む(残す)事が出来ませんが、
1分間に78本の溝があり3分の録音ならば234T(本)の溝があるという事です。

TW=Trace Width、盤上の溝を刻める幅は、およそ3インチ程度しかありません。

3インチ(76.2ミリ) 

もしも、3インチを3分でカッターの針が進むのであれば、76.2÷234T=0.325TPとなります。

実際には76ミリもの録音のスペースは取れず、せいぜい72ミリ程度ですから、221.5 Tです。

60秒(s)に78本(T)ですから 一回転は、0.7692s/T x 221.5T=170s  2分50秒しか録音出来ません。



 fig-1

実測では fig-1の様に インチの100分の1  TP0.254を基準とするTPが計測される場合も多いです。


これは Mississippi Shieksの TPですが TW65.0  T256  TP0.2539.


仮にTW70ギリギリとすれば、約3分30秒の録音が可能です、しかし面積をすべて使用する録音は冒険であり
タイムオーバーでボツテイクとなってしまう恐れが大いにあります。


それも このTP0.254当たりの設定においてでの話です。

Paramountの録音記録を調査したところTPはさらに広く、
Vocalionなども TP0.3を超える盤が1930年中期以降に計測されてます。



fig-2
 (TW59.7です、ずいぶんと余白を残した録音です)





1937年6月10日 「Lee O'Daniel 」ですが、TPはなんと TP0.308と広いです、溝は僅か194Tぽっち。

TW59.7。 


この設定で78rpmで録音を進めてしまったら3分に届く録音が出来ません。

録音可能面積の平均は TW56~TW 67辺りです。(MAXでTW72を計測してます)
計算してみます。



仮にMAX ラベルギリギリ TW72まで録音を進めたとして。。

TW72÷TP0.308 = T233.7   

233 x 0.7692s/t = 179.8s   約180秒です、 この設定では 3分ぴったりしか録音が出来ません。 

なんと1920年代録音時間の確保を競っていた時代よりも さらに短い録音しか出来ません。
 
そして 実際には0.7692s/T x 194T=149.22s  2分と29秒しか録音をしてません。


3分しか録音が出来ない設定で、30秒も時間を残して録音をしているのです、これはおかしいと思います。


実際には、録音の速度を複数の係数にて減速をさせていた事が判って来ました。

1920年代に使用していたTP 値よりも 広い設定にして録音時間を確保する方法は回転を落とすしか
他に方法はありません。 


実際にLee O'Daniel の演奏を78rpmで再生してみますと判ります、戦前録音独特甲高い歌声
すばしっこい演奏、聴きなれた演奏、世界中が心地良いと思ってきたハヤマワシがそこにあります。


そしてTPは録音のメーカーや場所、さらには録音の同日でもテイクにより異なるケースも あるのです。
このTPの変更を何のために行っていたのでしょうか? 


音圧や録音時間の調整のためと想像されておりますが、実際の録音の度に変更する意味は未だ解明されてません。


音圧はエレクトリック録音時代はアンプで管理できますし、録音時間は最も長い設定であれば安心です。
わざわざ短い収録時間設定の必要のメリットが どこにあったのでしょう?


当時のエンジニアは確実に何かの目的のためにTP値変更を必要としていたのだと思います、
もしも当時の情報、文献等をお持ちの方がおられましたら 何卒ご教授頂けましたら幸いでです。
宜しくお願い申し上げます。


 
私達は録音の回転速度を変更することで、当時のエンジニア達は録音ミスへの保険を掛けたのだと確信してます。

それは音程を聴き取り数値化し、回転速度に換算した時に現れてきました。
その操作の仮定でTP値変更をする必要があったかも知れない。

その様な 相互関係があるのではないか?
TP値には
録音時の作業のヒントが隠されているはずだ・・・


ある時代の あるスタジオ、あるエンジニア達は、横振幅での音圧確保を目的とするTP広大と
録音収録時間との相関関係、また再生時の音程変動相関とのはざまで TP操作や回転数操作を
行っていたと想像出来ます。

先人達の創世記におけるルールを模索する作業の奇跡こそが我々のトレースピッチ理論


*fig-2の様に 1937年の録音 TP0.307で TW僅か59.7。  

194Tだと  194 x 0.7692s/T = 149s  約2分30秒の演奏時間です。

演奏時間のタイムリミットを演奏者に知らせるには、
約20~15秒ほど前にランプの点滅などで知らせた様ですが、この場合2分15秒には
タイムリミットのカラータイマーが点滅となったのでしょうか?



1920年頃のパラマウント盤や1930年のパラマウント/グラフトン録音には
TP0.19やTP0.22という恐ろしく狭いTPも検出しております

これは理解出来ますこの様に録音時間の確保は 必須条件であったでしょう。


 現に同時期には78rpmよりも半分の速度で回す33 1/3rpmなども採用されて
ロングタイム録音を行っております。  

彼らが 低速録音による録音時間の確保を選択した可能性は濃厚です。 

収録されている楽曲に使用している楽器の特徴や演奏法、演奏上のタイム感、
歌声の聴覚的検証なども加味して判断しなくてはなりません。

そのために より多くのTPの測定数値が必要となります。
*1920年代初頭と1930年後期ではTPの設定が異なります、
徐々に安定的になり変更の必要がなくなって行った様です。

また、Okeh Records のように常に規則的なTPの機械的設定を選択していたメーカーも御座います。
TPと回転速度の関連は主に1920年代までの作業の中にあります。

資料文献が存在しない以上、レコード盤に残されたあらゆる情報を検証し当時のエンジニア達や
レコード産業プロデューサー達の思惑を辿ることが必要の様です。

とにかく 溝を測らせてくれ! 



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