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Pan Records

戦前ブルース音源研究所

Pre War Blues Laboratories

カーボンマイクのレストア・プロジェクト



 fig-1 fig-2



1920年代~中期 そして1930年代 レコーディングに使用されていたのはカーボンマイクという初期のマイクロフォンでした。
もちろん、それ以前はラッパ吹き込みですから ラッパに向かって直接演奏したり唄ったりしていたんですね。

 

fig-3     fig-4    fig-5

このラッパの先はどうなっていたか、完全なアコースティック録音の時代から ラッパの先にマイクをセットし電気式録音があったと想像します。
 
大変興味がありますがスタジオや年代等により多様な状況が想像出来ます 現在それらスタジオごとの確実な資料はありません。

1920年代中期になるとアコースティック録音から エレクトリック録音へ(音声を一度電気信号としてカッターへ送る方式)

そこで、必要なのがマイクロフォンという事です。 fig-7 はもっとも有名なメーカー " Western Electric " 社のマイクとスイッチボックスです。

fig-6     fig-7   fig-8

当時の録音風景やラジオ放送などの写真で 多く見る fig-6 の様なマイクですが、蓋を取ると中身は fig-8の様になってます。
直径は約70mm程度 2 1/4inch の大きさのカーボンマイクをスプリングで吊るしてあります。

このマイクは感度が良く 机などに置くと例えばペンを置く音なども集音してしまうし、また直接マイクに触れ大きな音が出る事がないようにと 
この様に外側のケースでカバーしバネで吊るして(引き合い)バランスを取り 細かい金網で音波が通過する様な仕組みです。(カバー無しモデルも多い)

カーボンマイクは、この様な構造から " スプリング・マイク" とも呼ばれています。  本題なのですがこのカーボンマイクを復活させたいと思います。

fig-9  fig-10  fig-11

このカーボンマイク検証のプロジェクトは、2012年の秋から始まりました。 まずカーボンマイク用の 真空管アンプを制作しました。 

バンジョー奏者 青木研さん のカーボンマイク用アンプを制作されたS氏に製作して頂きました(感謝)

青木さんが見事に復活させたカーボンマイクと専用アンプによる ライブ!! 演奏も素晴らしい アラビアの唄です。

良くご覧下さい、女性ボーカルのマイクから伸びるコードの先(モニタースピーカー横)に、
S氏製作の正に兄弟アンプの陰があります!
見事な復元ではないですか、 演奏もこれまた素晴らしいの一言です。



なんという 素晴らしい演奏でしょうか!! 感謝感激!
青木さんは 本当にすごいなぁ・・・・


 
ここで この曲の原曲について研究所的な動画を一つ
  Youtubeより 山本所長のコメントを抜粋
2012/01/25 にアップロード

日本で最初のジャズ・ソングとして大ヒットした、二村定一の歌う「アラビアの唄」。
コロンビアとビクターが半年をおいてリリースしました。

78回転で聴くと、コロンビア盤とビクター盤では、演奏のキーに半音の差があります。
コロンビアが低く、ビクターが高い。演奏テンポはコロンビアが遅く、ビクターが速い。
しかし、実際はどちらも、キーから半音の半分ほど外れています。

コロンビア盤は78回転で聴くと、明らかに声がこもっていて気持ちが悪いです。
そこで、80回転で再生すると、いい感じです。キーはFにぴったりで、こちらも気持ち­良いです。
ビクター盤の編曲は井田一郎氏ですが、どうも大元に楽譜があったとしか思えません。

コロンビアで使った楽譜にさらにアレンジを加えたものがビクターで使われたと考えると­、
わずか半年のこと、しかも同じ歌い手ですから、わざわざキーを変えるのは不自然です­。
ということで、ビクター盤もキーがFの演奏ではないかと推測し、回転数を76回転にし­て
、Fのキーへ修正すると、これもまた実に良い感じです。

テンポもコロンビア、ビクター同じになります。イントロ部分のアレンジこそ違え、
同じ­譜面で同じ語法で演奏されていることが良くわかりますし、だいいち二村定一の歌声が実­に自然に聴こえます。

昭和3年ですから、1928年、コロンビアは80回転、ビクターは76回転で録音して­いたことになります。
この回転速度の管理をどのようにおこなっていたのかに非常に興味があります。
錘動力なのか、すでに電気モーターが使われていたのか?
資料は残されていないのでしょうか?




研究所の所有するカーボンマイクは、青木さんのマイクよりももう少し前の時代の誕生です。 

出来上がった真空管アンプで早速試す事にします。

fig-12

何故 特殊なアンプが必要かというとマイクに電気を流さないといけない為です。

 おおよそ一般家庭電源の倍近くの電圧が掛けられてます。

詳しくご説明したいのですが、ここは専門家でないと間違った情報になる可能性がありますので仕組みや回路図は割愛します。

所有するそれぞれのマイクは 一応 反応し音が出ますがノイズが多く実用には遠く及びません。

当時、調子の悪い時は "マイクを叩いたりしてショックを与えた"と読んだ事がある、
一応ショック療法を試みるも無残効果なし。


また一説によれば "中のカーボンが湿気ってしまって音が出ない" とも聞いた事がある、
カーボンの湿度を取ったら音が出るのだろうか?


そもそも、どんな構造になっているのだろうか?
 自分で確認する方が早い。

同様のマイクに向かって 戦前のブルースマン達は唄ったに違いない。 
 同じマイクに向かって唄えたらいいよなぁ・・・・

当時のギターに弦張って、カーボンマイクに真空管アンプで録音出来たら マニアックの極めだよねぇ・・・・

取り敢えず復活させたいと思うものの、でも 代わりの新しいカーボン粉黛が
なければ、結局はそこで終ってしまいます。

そして 遂に 研究所のプロジェクトに好感を持って下さった先輩より、
純度の高いカーボン粒子をご提供頂いたのです。

 と言う事で 全く反応の無いマイク " American Microphone " を 思い切って分解してみる事にしました。

構造は、略式図を書いてみたのでご参考下さい(fig-13)

fig-13

 

 



【分解してみます】

fig-14 fig-15 fig-16

表側(ダイアフラム側) fig-15の様になマイナスネジ6点で分離出来ます。外径は70㍉ 2 1/4inch   内径42㍉ 厚さ7.3 ㍉

更に中心部は鉛製のカーボンケース(電極端子) fig-16 を取り外す事が出来ます。

 円の外周 20㍉ 中心棒の高さは 9.65㍉

fig-17 fig-18 fig-19

fig-17 両側固定ネジ部には絶縁筒があり、更に絶縁樹脂ワッシャーが付いてます。これがないとマイクを触ると感電します。
裏側から見ると fig-19の様になってます。ここにドーナッツ型のフェルトにカーボン粉が納まっております。




 fig-20 fig-21  fig-22

中間には アルミニュームで出来た振動板(ダイヤフラム)がサンドイッチされています。
fig-22の様に左から 表 - 振動板 - 裏 となっていて両側にフェルトに収納されたカーボンの粉が入っています。

 とても簡単な作りです。





fig-23 fig-24 fig-25

裏側も電極(カーボンケース)の部分は取り外す事が出来ます。

 fig-24の様に絶縁の木製筒があります。 
木製の筒のサイズは 直径9.5㍉ 内径6.35㍉ 高さ15.5㍉ 

カーボンケース部分は逆側と同様直径20㍉ 棒(端子)部分 高さ12.4㍉ 直径5.4㍉でした。

 





いよいよ ですが  これが カーボンマイクの中身 " カーボンの正体 " です!

全体量が把握し易いように 比較の為 本体と並べてあります。若干 こぼれてしまったものの 内容量はほぼ写真の通りです。 重さは1gに満たないので測れませんでした。

fig-26    fig-27

何だか キラキラと反射する物質が混ざっている様に見えます、肉眼で見る限りでも単純にカーボンだけでない様に見えます。

拡大してみます。 顕微鏡を持っていないのでここまでが限界です。

 

 fig-28

 

ゴミか! カーボンの粒子は粉砕された不均等な形状であり、中には金属片と見える輝きがあります。 
糸の様に見えるのはフェルトの繊維です。

これは何たることか、想像以上にデタラメな・・・・・

まるで コーヒーミルで 豆を挽いた かのようです! あ! コーヒー豆入れたらいいんじゃね?

研究所で用意したカーボンは、こんなデタラメではなくとても精度の高い品質ですが、これが良しと出るかは分かりません。

そこで、交換用の球形吸着炭素粒(日本性のピュア炭素)をご覧ください。(同じケースに入れほぼ等倍ズームです)

 fig29

見事な球形をしています。 


この球形炭素粒を変わりに入れて組付け実験してみましたが、炭素の量が多過ぎ 振動板の振動を妨げた 為に音が出ませんでした。

次に 若干カーボンの量を減らし実験しました。 今度は大きなノイズが終始に起りましたが声をしっかり拾ってくれてます。

音が出ました!  すごい感度です。

マイクを置いてある机をドライバー等で叩くなどすると、感度が良過ぎて共鳴を起こす程です。
しかし 終始ノイズが大き過ぎる為 まだ成功という訳ではありません。


粒子の形状が問題なのでしょうか、それともゴミの様な混入物が 味噌なのでしょうか・・・  
いや もっとカーボンは少なくて済むのだと思います。
そしてフェルトの交換が必要だと思われます。 

振動板の振動を極力邪魔せずカーボンが接点となれば音は出ると思いますが ノイズの原因がまだ分かりません。
そして 何故全く音が出なかったのかも 分かりません。

実験は続きます、3回感電しました。  

今回は カーボンマイクの実際の内部構造等を公開と言う事でご勘弁下さい。

次回は 音の公開をしたいと思います。 ブツ~ブツ~という音はまるでSP盤のノイズの様な音です。

(アドバイス頂ける方がいらっしゃいましたら是非ともご連絡下さいますようお願いします)


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